【理美容師のキャリアを考える】若い時の苦労は買ってでもしろ!は間違い

こんにちは。株式会社ペピーズ代表の池野です。
よく言いますよね、

若い時の苦労は買ってでもしろ
あの時苦労したから今があるんだ、

先に答えを言うと、
それは間違いです。

では、なぜ間違いなのかを物語でお伝えします。


大友君は晴れて美容師の専門学校を卒業した。いよいよ就職だ、内定先は一度職業体験で行かせてもらった石井さんのお店。

大きいとか最新とかそう言うんじゃなくて、オーナーの石井さんも優しいし他のスタッフの人達もニコニコしていて、なによりもお客さんもニコニコしている。本当にそのお店の空気が好きで石井オーナーの所に就職を決めた。

4月から働き始めた、本当に良いお店だった。

駅前にあって通いやすいし、お給料も他の美容室より高くて、休みも他の美容室より多い、なのにそんなに忙しくなくて、お客さんも優しい人ばかり、石井オーナーはこのお店の二代目みたい、お店が入っているビルのオーナーでもある、ゆとりがあって本当に優しい人だ憧れる人だいつか自分も石井オーナーみたいになりたいな。

大友は石井オーナーのお店で技術や接客を学び10年がたった。結婚もした、そろそろ子供も欲しい、先を考えるとそろそろ独立をした方がいいんじゃないかなと思い始めた。石井オーナーは優しいし、力になってくれるはず意を決して大友は石井オーナーに独立したい石井オーナーみたいになりたいという相談をした。

石井オーナーは微笑みながら答えた。
「おーそうかそりゃ頑張らないとな」。

大友は真剣な顔で質問をした。
「はい、それでご相談なんですがどうやったら石井オーナーみたいになれますか?」。
「ん?」。
「いやだから石井オーナーみたいになれると思って10年働いて来たのでどうしたら石井オーナーみたいになれるかなって思って」。

その後、石井オーナーから出てくる言葉に大友は絶句した。
「それは無理だよ」。

石井オーナーは立て続けに話し出した。
「うちのお店ってオーナーである俺は美容室からはほとんど給料取ってないんだよ。ビルの家賃収入があるから生活は楽だし美容室は先代からのお店だから本当はやめて貸した方が儲かるんだろうけど、なるべく続けたくてね。大友が駅前とかにビルでも持ってるならできると思うけど、うちと同じことやって独立してもたぶん生活できないよ」。

そんな裏事情があるとは知らなかった大友は目を丸くした。
「そんな、それじゃあなんのの為にここで10年もやってきたのかわからない、騙したんですか」。

さすがに少し気を悪くしたのか、石井オーナーはぴしゃりと言った。
「騙したなんてとんでもない、自分みたいになれるなんて言ってないし、何より他よりも給料は高いし休みは多いしお客さんは少ないし。最高の職場じゃないか!それなのに文句なんて言われたくないよ」。

大友は初めて気づいた。自分が10年間やってきたのは生活のための仕事じゃなかったんだ。お金持ちが趣味で収入を考えないでやっているお店、そこでの技術や接客は他では通用しないのかも。。。やばいこの先どうしよう。


最後まで読んでくれてありがとうございます。

大友君は楽をしていたから困ったと思うと思います。
では本当に大友君は苦労があまりなかったから困ってるのでしょうか?

 

たとえばこの石井オーナーの性格がとても悪い人だった場合はどうなるでしょうか?

待遇が良くても石井オーナーの性格の悪さに他のスタッフがみんな辞めていく中、大友君はそれでも頑張って、いつか同じ立場になってもっと良いお店にしてみせると考え10年間耐えていたとしたら?性格の悪い石井オーナーに耐えた大友君の10年間は苦労はしているけど、10年後の状況はたいして変わらないですよね。

10年間で必要だったのは苦労ではありません。

大友くんに必要だったのは能力です。

若い時の苦労は買ってでもしろ!は意味をはき違える可能性が高く乱暴だと思います。苦労してれば先があるみたいに聞こえてしまう。

能力をつけるには経験を積むことです。より良い経験を積むにはチャレンジが必要です。

最後に若い人に向けて伝えたいことがあります。
若い時は苦労から逃げずに多くのチャレンジをして能力をつけよう!

最後まで読んでくださってありがとうございました。

株式会社ペピーズ代表 池野孝太郎